フラップレス術式とは

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋入する外科処置を行います。一般的な方法では歯ぐきを切開して骨の形を直接確認します。一方、フラップレス術式は歯ぐきを大きく開かず、埋入位置に小さな開口部を設けて処置を進める方法です。

切開や縫合の範囲を抑えられる可能性がある一方、骨を直接見ない状態で進めるため、事前の診査と位置の計画が重要になります。「切開範囲が小さいこと」と「外科処置ではないこと」は同じではありません。フラップレス術式でも、出血、痛み、腫れ、感染などが生じる可能性があります。

この方法は、すべての方に選択できるわけではありません。骨の幅や高さ、歯ぐきの状態、神経や上顎洞との位置関係、残っている歯、噛み合わせなどを確認したうえで判断します。処置中に状態を確認する必要が生じた場合は、切開を伴う方法へ変更することもあります。

CTで立体的な位置関係を確認する

歯科用CTでは、顎の骨を三次元的に確認できます。平面的な画像だけでは把握しにくい骨の形、神経までの距離、上顎洞の位置などを読み取り、インプラント体の候補位置を検討します。

計画では、単に骨がある場所を探すだけではありません。将来装着する歯の位置、清掃のしやすさ、周囲の歯との関係、噛む力がかかる方向も考えます。埋入方向と深さは、外科処置だけでなく、その後の人工歯の形やメンテナンスにも関係するためです。

CT画像には金属による乱れが出る場合があり、撮影時と処置時で口腔内の状態が変わることもあります。画像と診察結果を組み合わせて判断し、データだけに任せないことが大切です。

サージカルガイドの役割

サージカルガイドは、CTデータをもとに立てた計画を口腔内へ移すための補助器具です。歯や歯ぐきに装着し、器具を入れる位置や方向、深さを確認しながら処置を進めます。

作製前には口腔内の形を記録し、CTデータと重ねて設計します。完成後も、口腔内で浮きやずれがないか、計画した位置に安定して装着できるかを確認します。ガイドは計画を支える器具であり、診察や術中判断の代わりになるものではありません。

歯の欠損範囲が大きい場合や、支えになる歯が少ない場合は、固定方法を含めた別の設計が必要になることがあります。口の開き方や器具を入れる空間も確認事項です。

診査から処置までの流れ

最初に、現在困っていること、治療に対する希望、全身状態、服用中の薬、これまでの歯科治療について確認します。その後、歯ぐき、残っている歯、噛み合わせ、清掃状態を診察し、画像検査を行います。

得られた情報から、インプラント以外の選択肢も含めて検討します。インプラントを選ぶ場合は、埋入位置と人工歯の形を計画し、必要に応じてサージカルガイドを作製します。処置当日はガイドの適合を確認し、局所麻酔のもとで進めます。

当院では、手術に歯科医師と看護師2名が立ち会います。それぞれの役割を分け、器具、清潔域、全身状態の確認を行います。処置後は傷口と噛み合わせを確認し、経過に応じた診察を続けます。

適応を判断するための確認事項

骨の量が不足している場合、感染や炎症が残っている場合、清掃状態が整っていない場合などは、先に別の処置や管理が必要になることがあります。糖尿病などの全身疾患、骨代謝に関係する薬、血液を固まりにくくする薬、喫煙習慣も確認します。

服薬を自己判断で中止すると全身の健康に影響するおそれがあります。薬の変更が必要かどうかは、処方した医師と連携して検討します。体調や通院中の病気は、診察時にお知らせください。

フラップレス術式を希望していても、診査結果によっては切開して骨を確認する方法、骨の環境を整える処置、ブリッジや入れ歯などを検討することがあります。方法の名称だけで決めず、目的と注意点を確認することが重要です。

処置後の管理

処置後には、痛み、腫れ、出血、感染、知覚の変化などが起こる可能性があります。上顎では上顎洞、下顎では神経の位置に配慮が必要です。違和感が強い場合や出血が続く場合は、指示された連絡方法で早めに確認します。

インプラント体が骨と結合するまでの期間は、骨の状態や処置内容によって異なります。その間は、処置部位へ過度な力をかけないことや、口腔内を清潔に保つことが大切です。

人工歯が入った後も、天然歯と同様に汚れが付着します。歯ブラシだけで届きにくい場所には補助用具を使い、定期的に歯ぐき、噛み合わせ、インプラント周囲の状態を確認します。長期的な管理まで含めて治療計画を考えます。

相談時に確認したいこと

フラップレス術式やサージカルガイドについて相談する際は、自分の場合に選択できる理由、別の方法へ変更する可能性、想定されるリスク、処置後の通院と清掃方法を確認してください。画像上の計画と口腔内の状態を照らし合わせ、納得できる説明を受けてから選択することが大切です。